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浄土宗単立寺院。
山号は住蓮山(じゅうれんざん)。
本尊は阿弥陀如来。
鎌倉時代のはじめに法然上人の弟子の住蓮(じゅうれん)上人と安楽(あんらく)上人が、
現在地より東へ1キロメートルのあたりに「鹿ケ谷草庵」を結んだことに始まる。
住蓮上人と安楽上人は、唐の善導大師の「往生礼讃」譜曲を附し、六時礼讃声明を完成させた。
両上人が勤める声明はまことに美しく、参詣者の中には出家して仏門に入る者もあった。
その中に、後鳥羽上皇に女官として仕えていた松虫姫と鈴虫姫姉妹がおられた。
両姫は容姿端麗で教養も豊富であった。
後鳥羽上皇から寵愛を受けていたために、他の女官たちからの嫉妬も相当なものであったという。
両姫は、虚飾に満ちた御所での生活に苦悩し、心の平安を求め、いつしか出家を望むようになった。
建永元年(1206年)十二月、後鳥羽上皇が紀州熊野に参詣の留守中に、
両姫は清水寺で法然上人の説法を聴聞し、念仏(南無阿弥陀仏)によって救われるほかに道はないと自覚した。
御所に戻ってからもその説法が忘れられず、夜中密かに御所を忍び出て「鹿ケ谷草庵」を訪れた。
そして両上人の前で剃髪出家し、尼僧となった。時に松虫姫は十九歳、鈴虫姫は十七歳であった。
このことを知った後鳥羽上皇は激怒し、この出来事を口実として専修念仏教団に対して弾圧を企てた。
翌建永二年(1207年)二月九日、松虫姫を出家させた住蓮上人は、
近江国馬淵(現在の滋賀県近江八幡市)において斬首に処された。
また、鈴虫姫を出家させた安楽上人は京都六条河原町(現在の東本願寺近く)において斬首に処せられた。
この迫害はこれにとまらず、法然上人は七十五歳の高齢にも拘らず、讃岐国(現在の香川県高松市)に流罪、
親鸞上人は越後国(現在の新潟県上越市)に流罪に処された。
その後、両姫は瀬戸内海に浮かぶ生口島の光明坊に移り、念仏三昧の余生を送り、
松虫姫は三十五歳、鈴虫姫は四十五歳で往生を遂げたと伝えられる。
また、両上人亡き後、「鹿ケ谷草庵」は荒廃したが、流罪地から帰京した法然上人が
両上人の菩提を弔うために草庵を復興し、「住蓮山安楽寺」と名付け両上人の追善の寺とした。
その後、天文年間(1532~55年)の末、現在地に本堂が再建され今日にいたっている。
安楽寺では中風まじない鹿ケ谷カボチャ供養が毎年行われる。
毎年7月25日に、京都の伝統野菜の一つである瓢箪型をした鹿ケ谷カボチャを煮炊きしたものを参拝者に振る舞い、
中風にならないようにと願う行事である。
併せて、当山の宝物(掛軸)の虫干しも行う。
本堂は、常行三昧堂として使われていた方形裳階造の堂宇を江戸時代後期に移築したもの。
数奇屋風の書院も江戸末期に移築されたもの。
茅葺の山門は明治二十五年(1892年)の建立である。
これら3つの建造物は、平成十五年に国の登録有形文化財になった。
境内東南側に松虫・鈴虫両姫供養塔、境内南側に住蓮・安楽上人供養塔がある。
(「鹿ケ谷 住蓮山 安楽寺 Shishigatani Juren-zan Anraku-ji Temple しおり」および
「増補版 京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」より参照)
安楽寺の見所は自然豊かで古風な雰囲気の山門、建造物などです。
石段の上にある風情ある山門は非常に絵になります。
春から夏にかけては新緑や青もみじ、秋は紅葉の名所です。
石段一面に散った散り紅葉もまた見事です。
境内の本堂前庭園にはサツキが多く、春には緑とピンクの華やかな色合い、コントラストが楽しめます。
石畳の参道が続き、その両脇が緑でつつまれています。
苔なども豊富で落ち着く空間となっています。
書院前庭園にもサツキやもみじが多く、四季折々様々な情景を見ることができます。
また、燈籠や石橋なども配され風情ある造りとなっています。
本堂や書院、客殿は回廊(渡廊下)でつながっており、古風で趣きある雰囲気も楽しめます。
普段は非公開ですが、春のサツキの時期や秋の紅葉の時期には一般公開されます。
安楽寺はサツキの名所です。
5月下旬から6月初旬にかけて本堂前庭園や書院前庭園にて華やかなピンクのさつきが見られます。
この時期は緑も美しく、緑とピンクのコントラスト、ピンクのアクセントなども楽しめます。
書院前庭園では、書院奥からの額縁庭園としても見ることができます。
安楽寺は拝観日が限られているため、サツキの見ごろ時期と拝観可能日が合えば、
是非とも行っておくべきお寺だと思います。
安楽寺は緑や自然が豊かな静かなお寺です。
春から夏にかけては鮮やかな新緑や深い青もみじが楽しめます。
安楽寺は紅葉の名所です。
中でも山門とその前の石段は非常に絵になる秋の景色が楽しめる場所です。
石段に積もった散り紅葉も見ごたえがあり人気もあります。
書院前庭園や書院中庭にも真っ赤な紅葉や鮮やかな紅葉があり、風情ある見事な紅葉が見られます。
住所:〒606-8422 京都府京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町21番地
※その他のアクセス方法もあります。上記は一般的なアクセス方法です。
時間はおおよその目安です。
拝観時間 ⇒ 通常非公開(※春・秋・その他の特別公開日のみ拝観可 ⇒ 9:30~16:30。事前確認要。)
拝観料 ⇒ 通常非公開(※特別公開日 ⇒ 500円)
※距離、時間はおおよその目安です。「約~」などは見にくくなる為省いています。
(※まだまだ作成、編集中です。)